世界のオーガニック・米国編G
全米第一位のナチョラルチキンを生産(日量15,000羽処理)
来年度にはオーガニックチキンヘ切替
(1996年「自然と農業」−第1巻・第1号より一部抜粋)
ペトルマ・ポートリ・ファーム
カリフォルニア州のナパバレーから車で一時間位の所に全米第一位のナチョラルチキンを生産するペトルマポートリファームがある。同農場はブロイラーのインテグレーターである。1971年に創業し飼料工場、艀化、育成、処理、販売とインテグレーションを形成している。
種卵はアーカンソー州の種鶏場から一週間に150,000個購入、自社艀化場で艀化している。同社から20マイル以内に15農場を保有。その内訳は自社直営農場10か所と契約農場5か所である。一日当り32,000羽の処理能力があり、その内オーガニックチキンは日量12,000-15,000羽処理している。同社の構成をみるとブロイラーの処理、販売、運送、管理会社の運営するペトルマポートリファーム、農場の運営を行うクレイクビルグロアー、飼料会社のウイロープロック(レイヤーのエサも一部販売)の三社から運営されている。
国内の健康ストアのほとんどに供給しており、今回訪間したアルファルファストァ、ミセスグチーズストア等へも全面的供給をも行ない、販売指導をも行っている。供給割合は60%が小売店で、49%が卸商へとなり、輸送は160マイル以内はすべて自社のトラックを使用する。それ以外は契約業者が担う、また遠距離は飛行機で輸送する。たとえば、フェニックス、マイアミ、ノースカロライナ、ニューヨーク等となる。デンバーの場合はトラックでデポで供給し、各店へ契約したトラックで一週間に2回供給する。
ペトルマポートリーファームはオーガニックファームではないがフリーレンジすなわちナチョラルファームである。現在、同社の放飼ブロイラーは抗生物質、成長促進剤等は一剤使用しない。しかし、飼料原料はオーガニツクでないためにUSDA(米国農務省)はオーガニックチキンのラベルを許可しないのが実情である。オーガニックチキンとは飼料原料である穀物からすべての原料が化学肥料、殺虫剤、除草剤等を使用せずに生産され、これを原料として製品化するものである。ここで一番大切な点は第三者機関で認定を受けることである。現状においては鶏の段階でコントロールしている状況にある。
フリーレンジシステムは、同社においては50フィート×300フィート=15,000平方フィートと大変大きな鶏舎で飼育し、この鶏舎と同じ大きさのグランドを備えている。グランドヘは4週齢以降放飼する。同社では@フィツシュミールチェック、A処理工場チェック、B飼料製造工程チエツク、C育成段階(抗生物質フリーであること)、D消毒薬のチェック体制を敷き、@ヒナの農場における状況、すなわちビタミン、ワクチンの投与、ヒナの入雛状況を検査官にみせる、A1日齢の鶏が処理されるまでの流れを書類でみせる。これはぺーパーレコードでも処理が可能である。
同社ではフリーレンジシステムで飼育した鶏に疾病の発生があった場合には、抗菌剤の投与を行なうが、その雛は一般農場へ移動する。そうすることによりナチョラルブロィラーとしてのブランドの確立に努めている。添加物については、FDA(米国連邦政府食料安全局)が評価しているコクシジユウム剤、微量物質、塩、石炭、リンについては使用している。フリーレンジにおける出荷率は94-95%を目標にしている。実質斃死率は8-9%である。淘汰は二週間目から厳しく行い、弱い鶏に飼料を給餌することは生産効率を悪化さすとの発想から厳しく淘汰を行なっている。斃死率は1週齢の場合1%, 2週齢で0.3-0.5%, 3週齢以降0.5%である。
同社が重要視している点は、@種鶏段階におけるワクチンの徹底、A孵化、雛の質的向上、B管理、2-3週間が一番重要のため熱量の調整、C飼料の調整、D換気、E農場の飼料管理の六項目をあげる。同社が実施しているワクチネーションは1日齢で4ワクチンを実施している。@ガンボロ、Aニューカッスル、BIB、Cマレックである。9日齢に脚を弱くする疾病予防のためワクチンをガンスプレーで行なう。16日齢IB、NDワクチンの投与を実施する。なお、1日齢の時にコクシジュウムワクチンを点眼で行なう。2-3日齢の時に飼料にスプレーする場合もある。同社の農場はすべてオールイン・オールアウトを行なっており、年間5回転している。そのため一年に一回敷料を全部出し、洗浄、消毒をする。全部終了した時点で、クオタリアアンモニア(化学物質を使用)。また、カブト虫をコントロールするためにナチョラルなほう酸を使用する。
以上が管理システムであるが同社シャインスキー社長はオーガニックプログラムを開始する場合には、全量オーガニックシステムに切替えるのではなく、一般の養鶏と平行して行うべきである、と語る。疾病の発生を恐れての方策であるとしている。まだ、わが国へはフリーレンジチキンの輸出を行っていないが、USDAの認定工場だから世界中どこでも輸出することができる。現在、中国へ頭、脚を輸出している。日本へは、現在大手商社と交渉中である。
同社は一般的ブロイラー生産の他にフリーレンジ方式によるチキンの生産を行なっているが、現状においては、連邦政府のオーガニックミート法でない状態だけに、企業の責任のもとで、ナチョラルチキンといっても間題はないが、同社社長はナチョラルの言葉を使わず、あくまでもフリーレンジシステムによるブロイラー生産としている。しかし、同社から購入しているアルファルファストア、ミセスグーチーズにおいては、ナチョラルチキンの名称で販売を行なっている。一年後にUSDAのオーガニックミート法案が制定された場合にはフリーレンジ方式をオーガニックチキンヘと即く変えるという。
(1996年「自然と農業」−第1巻・第1号より一部抜粋)
− − − − − −
− − − − − − − − −