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世界文化社「メンズエクストラ」20003月号より

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Organic Restaurant in West Coast

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この人、このレストランからオーガニックが芽生え,広がった

'89年、アメリカでは「リンゴの落下防止剤間題」が世間一般の話題になった。これはその農薬に発がん性があり、特に子供たちに影響を及ぽすと女優のメリル・ストリープが抗議に出たからでもあった。翌90年に「オーガニック,食品生産法」が議会で承認されたが、そもそもオーガニックのムーブメントを起こしたのは、ここに紹介すアリス・ウオーターズだ。71年、バークレーに地中海風料理のレストランとしてアリスの「シェ・パニーズ」はオープンした。

オーナーシェフの彼女は地元の有機農作物を使ってシンプルで季節感のあふれる料理を提供することを心がけた。この時代のアメリカは人々が食卓から離れ、ファースト・フードや冷凍食品で食事をすませ、子供たちの間にも肥満が増えていった。また白然食もあることにはあったが、どこかストイックで主義や思想などもオブラートされていた。決してうまいものではないというイメージが強かった。しかし、「シェ・パニーズ」の料理は健康的でなおかつ旨いものであった。アリスは生産者の顔が見えない素材は一切使わない。そして、料理を作るときのもうひとつのルールが、手に入るもののなかで最も新鮮で最高のクオリティの食材を調理することだ。

彼女はインタビューのなかでこんなことも話してくれた。「私は、多くの料理学校が本当に料理のことを生徒たちに教えているのか疑問に思うときがあります。料理は作るだけのものではないし、食べるだけのものではないのです。レシピを憶えるだけでは意味がなく、素材から始まらないと、土から勉強していかないと、素材の本当の昧、季節によって変わる昧のことなど分からないと思います。料理は土地や気候に合わせて作るものですから」

アリスさんの考えにまず影響を受けたのは地元の農業関係者たちで、特に小さな農場を持つ人たちだった。少しずつ連携が深まっていく。また、彼女は地元のマーティン・ルーサー・キング中学のコンクリートだった広場を耕しミズナやルツコラなどを植えた。これはこの中学とアリスが手を組んで生徒たちにガーデニングを教え、その野菜で料理を作り食べさせるところまで実行したのである。これには政府も関心を示した。こういったアリスの30年近くの行動が実り、今やアメリカ全上に広がり、食文化が貫弱になっている今、多くの人たちがクオリティを重視するようになっている。これは他のレストランのオーナーから聞いたのだが、「若い人たちほどオーガニックを求めている」とも。そういえばサンフランシスコでもロスでもオーガニックの果実を使ったジュース・バーが若い人たちの溜まり場になっていた。

ところで私たち取材班が彼女と会ったのは「シェ・パニーズ」でではなく、ちょうど出版した本のブロモーションで来ていたサンタモニカでであった。その日は近くでファーマーズ・マーケツトが開催され、アリスと一緒に 見てまわった。出店している80パーセント以上がオーガニックであった。野菜や果実ばかりではなくオリーブオイルやチーズなども並んでおり、近くのオフィスから出てきた若いビジネスマンなども目立った。日本では想像がつかないほど一般に普及しているという印象を持った。

数日後、学生の街バークレーにある「シェ・パニーズ」でランチを食べた。スー・シェフやパテイシェのアレンが取材に応えてくれたが、「シェ・パニーズ」では毎週金曜日に仕入れ先(農産物、畜産物、チーズなどで現在75軒)から出荷可能リストが送られてくるそうだ。チノ農場もそのなかのひとつで農作物だけで11軒ある。早朝食材が運ばれ、その日のメニューが決まっていく。必ずスタッフが料理を試食し手直しが加えられていく。

ランチはアラカルト料理で前莱10種とメイン料理が6種、そしてデザートが6種あり、ピッヅァやパスタなどもあるカジュアルなラインナップだった。私たちはサンフランシスコ湾で獲れたイワシのマリネやトマトソースのアンチョビのピザ、鴨の脚肉のブレゼなどをオーダーした。アメリカを代表するトップクラスのレストランにしては6ドル75セントから高くても17ドル50セントで、良心的な値段だといえるだろう。2階の80席あるダイニングはビジネスマンから初老の夫婦、妙齢の美しき女性たちであっという間に席は理まり、階段のところに客が待つという賑いだった。料理はいずれも品が良く、清らかさが漂っていた。素材の真味に感激し、おさえた味のバランスのよさに店の風格を感じた。ちなみに塩はフランスはブルターニュ地方のフルール・ド・セルを、砂糖は南米パラグアイのオーガニックシュガーを使っていた。

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 index-7.jpg (2756 バイト) french-laundry.JPG (2300 バイト) The French Laundry Web Site(click here)

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元気で健康に生きていくための食材、それがオーガニックだった


新しくなったサンフランシスコ空港からワインカントリーのナパ方面へ北上すること112キロ、1時間30分ほどのドライブで「ザ・フレンチ・ランドリー」のあるヤウントヴィルへ着いた。今、アメリカで最も人気のあるレストランのひとっで、予約して3ヵ月待ちというのが現状だ。

人気の秘密は、オーナーシェフ、トーマス・ケラーの1日を見ればよくわかる。通常トーマスの朝は8時30分に始まる。レストランの裏手にある自宅から厨房に着くまで3分とかからず、仕事スタートが9時30分。すぐに食材のクオリティ・チェツクにかかる。厨房スタツフ28名は、各自の持ち場につき、仕込みに取りかかっている。前の晩、ディナーの仕事を終えたスー・シェフがある程度スケッチしておいたメニューにトーマスは目を通し、作りながらテイスティングし料理のラインナップを完成させていく。

厨房で仔羊の肉の塊をさばくスー・シェフのケン・フランクに話を聞いた。「この仔羊はペンシルバニアの農場にトーマスが指示して飼育してもらっています。飼料はオーガニックのものだけ。豚も同じでりんごや麦を与えています。生後何ヵ月で、どんな状態がベストかまで、トーマスはプロデュースしているのです」かつてアピキウス(前91年から紀元192年)の頃のフランスでも豚に乾燥イチジクを与えたりするガヴァージュ(強制飼育)は見られるが、現代のアメリカを代表するシェフはオーガニックの飼料を選んでいた。それはなぜか後で触れるとして、トーマス他スタッフは午後4時30分まで仕事を続け、45分間だけ休憩。そこで全員で食事をとる。その後9時30分でオーダーストップとなるが、各自の仕事は遅くまで続く。トーマスが切り上げるのが午前1時30分、スー・シェフはその後も翌日のメニューを考える。

彼等がこうもハードなのは、「料理がハッピーじゃないとお客は喜んでくれない」というトーマス自身の考えからきている。フレンチの影響を受けたアメリカ現代料理を誕うメニューは、シェフのテイスティングメニューが95ドルで最後のミニャルディーズ(小菓子)まで10皿続く。さらにプリフィクスの80ドルは前菜10種、魚料理4種、肉料理4種、サラダを含む野莱料理4種、デザート5種の中から11つずつ選び、小菓子で6皿となる。この他にベジタリアンの70ドルのコースもあり、これらはすべて日替わりである。

私は1週間で2回行ったが、メニューは全料理44種のうち7種だけが残り、37種が新作だった。これは驚くべき事実だ。2回目に行ったときにテイスティングメニューをいただいた。座席は62席。テーブルにはリネンの白いテーブルクロスが敷かれ、全体的に石で造られた家という雰囲気。

スタートから笑顔がこぼれる。長さ8センチほどの小さなアイスクリームのコーンの形をした科理が運ばれてきた。アイスの部分はサーモンのタルタルだった。ワインリストにあるワインはすべてハーフボトルも用意されていた。料理は、すべて片手に載るぐらいのポーションで、テイスティングコースといテイステイングう意昧がわかった。本当にちょっと味見するという、ヒトクチ、フタクチ、ミクチぐらいで食べ終わり、もっと食べたいと思わせるものであった。賑う客たちは科理を見て、食べ終えて、これまでどんなレストランでも味わったことのないトーマスの魔法に感激している。例えばシチューはどろっとした料理だが、トーマスはこれをマッシュしたポテトとソテーした肉と少し妙めた野菜を重ね含わせ、ブラウンバターソースで、シチューとまったく同じ食感をもたらしてくれた。

食後、トーマスのいる厨房へ行った。「食材はすべてオーガニックなんですか」と質間すると、オーガニックオーガニックとそう騒ぎなさんなというような顔をした。「人生はすべてクオリティが大事です。それもあらゆる面(衣食住)でバランスが取れてなければならないと思いますし、科理のお皿の上でも同じことが言えます。私たちは人間の食べ物を作っている。それは健康で元気に生きていくためのものです。そのための食材を探していたら、それがオーガニックだっただけです」私は、トーマスの料理を食べてから、これまでのカリフォルニア料理の、へルシーで味は淡泊で大味というイメージが一変した。トーマスはフランス料理の旨みをべースに、カリフォルニアの優良な食材をひとつひとつエンターテイメントさせているのである。

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シエ・パニーズのためだけに野菜を作る男がいる

レストラン「ザ・フレンチ・ランドリー」でも「シェ・パニーズ」でも、料理の中の野菜の旨さに感心してしまったのだが、例えば肉や魚料理の添えものでも、きっちりと真味を白己主張する。もちろん彼等の調理のテクニックもあるのだろうが、そのものの味が濃い。これは湧き水をくうっと飲んだときのあの旨さに似ている。

実際にオーガニックの野菜を作っている農場を見たくて、「シェ・パニーズ」のスタッフたちにそのことを相談すると、誰しもが「ボブ、ボブがいい」と笑顔を浮かべた。相当な人気者らしい。「シェ・パニーズ」のあるバークレーから、車はルート101入り北上した。ボブ・キャナードはソノマという、もうひとつのワインカントリーで農場をやっている。ソノマはナパの隣町でドライブ中に目に入ってくるのは、なだらかな丘陵、一面のぶどう畑。また、街道沿いにオーガニツク・ミルクと看板がでている工場もあり、なぜか牛ではなく山羊の牧場が隣接されていた。こうしたわずかな時間のドライブでもORGANICの文字を見つけたり、また、広大な農地を見ると、オーガニックとは何なのかをごく普通に考えたりしてしまうのだ。

生憎の雨となったが、ボブだけは傘もささずに農場を案内してくれた。そこには近代農業をイメージさせるものは何もなかった。よくテレビで見るようなアメリカの大地をトラクターが整然とシステマティックに、というようそんな農場ではなかったのである。

こっちに雑草のように生い茂るハーブがあるかと思うと、向こラの畑にはブロッコリーが雑然と何の脈絡もなく色の濃い葉を広げていた。やたら伸び伸びしている感じで、懐かしい香りが漂ってくる。その後、家の中に人った。ボブは、さっき見たブロッコリーを料理してくれた。味ガーリックと塩とオリーブオイル。ワインによく含った。(友人の造っているオーガニツク・ワインを出してくれたが、このブロッコリーの味の濃さはいまだに忘れられない。ボブの話しぶりからも人間の濃さといラか惰熱を感じた)。「まだまだオーガニックはパーフェクトじゃないけど、いい方向に向かっていると思う。私の野菜には土からのパワーがすべて入っている。ミネラル、カルルシウム、マグネシウム……。オーガニックはコンベンショナル(無機農法)と比べると、例えばキャベヅなんかはミネラル分は12倍近く多いし、栄養素が多いんだよ」

キッチンの隣のリビングにはピアノが置いてあった。雨の日は好きなクラシック音楽を奏でる。「健康な土からしかいい野菜は作れない。私の農法の原理は、土を養い、野菜も養うということなんだ。土壌の手入れをきちっとすることによって有機成分の層が生まれ、養分やミネラル分を大量に含んだ土壌が出米る」ボブはアリス・ウオーターズの「シェ・パニーズ」のためだけに野菜を作っている。アリスは食材の仕入れに対して「作っている人の顔が見えるところからしか入手しない」と言っていたが、アリスやスタッフから信頼されているボブに、「私も一緒に旨いものを作っているんですよ」といった誇りを感じた。

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Last update: 2002/07/27

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